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同窓生コラム

MR(製薬会社営業)にMBA取得者が多い背景 US13渡辺太郎

MR(製薬会社営業)にMBA取得者が多い背景 US13渡辺太郎

同窓会コラム:MR(製薬会社営業)にMBA取得者が多い背景

US13渡辺太郎です。BBT入学者の中で製薬会社の営業(MR)が占める割合は大きいです。特に私が所属する武田薬品のBBT修了者はもうすぐ100名に達しようとしており、全修了生の1割程度を占めています。それ以外の製薬会社から入学されている方も多いです。
このような背景もあり、BBTでは製薬会社の方を限定した入学説明会を実施するようになりました。その第一回が1/29(月)に麹町キャンパスで実施され、僭越ながら修了者として体験談を話してきました。その経験も踏まえ、BBTへ入学する製薬会社のMRが多い理由について私見を述べたいと思います。

BBT入学者にMRが多い理由

私は主に下記の2点がその理由だと考えています。
 オンラインのため隙間時間の勉強・ディスカッションが可能でありMRにとって受講しやすいこと
 製薬業界の将来が不透明であり、自らの将来のためにビジネスパーソンとしての価値を上げる必要があること

1は皆様よくご存知のことですので、2について詳述したいと思います。

近年製薬会社のMRにとっては厳しい環境となっており、1/17のダイヤモンドオンラインには下記の記事が掲載されました。
“製薬業界の花形職種に冬到来、大手で希望退職に400人殺到”
http://diamond.jp/articles/-/155776
—————————–以下引用—————————–
財務省も昨年10月の財政制度等審議会・財政制度分科会で「営業費用など研究開発費以外の販管費の比率が高い」と指摘。
MRの待ち時間や雑務の多さをやり玉に挙げ、産業構造の転換を促している。
「MRに厳しい時代が確実に来ている」と大手製薬会社の現役MR。高収入で人気を博した花形職種が凍えている。
—————————–以上引用—————————–

この背景には、下記の要因があります。

1.不透明な将来の売上

>新薬の開発成功率低下
これまでMRが凌ぎを削って宣伝してきた生活習慣病薬などの低分子化合物はほとんど開発し尽くされ、現在は抗がん剤など所謂バイオ医薬品が中心となっています。そのため、研究開発費はより嵩む一方で、開発の成功率は低下しており、自社開発よりも他社やバイオベンチャーから導入するケースが増加しています。また、これらの製品は低分子化合物と比べると製造原価は高く、利益率は低くなります。

>医療費抑制のための薬価引き下げ策
日本の医療費は高齢化に伴い膨らみ続け、それを抑えるために薬価(国が定める薬の公定価格)は常に槍玉にあげられています。ここ数年でそのやり方はよりシビアになっており、昨年度は小野薬品の抗がん剤”オプジーボ”が、通常の薬価改定時期ではないにも関わらず薬価を50%引き下げられました。また、2018年度の診療報酬改定では薬価制度の根本改革が予定されており、新薬創出加算(革新的な新薬に対して付加される加算)の対象医薬品が狭められることが予定されています。

2.MRのコスト化

上述した通り新薬開発は低分子化合物からバイオ医薬品へシフトしていますが、これらの製品は一般的なクリニックではなく、大病院で専門医が中心的に使います。クリニックに比べて病院の専門医人数は圧倒的に少ないため、MRにとっては顧客が限定されることになります。そうなると、現在のクリニックでプロモーションを競う既存のビジネスモデルは不要となり、既存のMR人員の多くはコスト化してしまいます。

What Does this all mean?

つまり、これまでの製薬会社は病院・クリニックでMRが利益率の高い低分子化合物をプロモーションするビジネスモデルが中心でしたが、各社の製品ポートフォリオの変化・事業環境の変化によりMRが必要とされる市場が縮小し、MR人員がプロフィットセンターからコストに変わりつつあります。

そのため、今後も主力品の特許切れに伴い各社が更なるMRの削減に乗り出す可能性は高いです。
MRがこのシビアな環境を生き残るためには、
>専門性を高めて抗がん剤などの情報提供を行うSpecialty MRとなる
>社内の他部門(本社、MSL (Medical Science Liaison)など)へ異動する
>異業種へ転職する
などがあると思いますが、いずれにおいてもMBAによるスキルアップはプラスに働くため取得する人が多いのだと思われます。私もBBT修了後にMRから本社勤務に異動しましたが、BBTでの学びによりビジネスに対する視座が高くなっているお陰で早く適応できたと実感しています。

いかにして自分で動いて稼ぐ力を身につけ、生き残っていくか。製薬会社のMRにとって、今をどう生きるかが人生の分岐点になりそうです。


渡辺 太郎 (わたなべ たろう)
US13 経営管理専攻 2015年修了

武田薬品工業株式会社勤務。営業(MR)として勤務を開始し、BBT修了後の2015年10月に社内公募で東京本社の事業企画部へ異動。2017年10月よりマーケティング部に異動し、生活習慣病製品のマーケティング・データ分析を担当している。
患者さんの「最後の10年を最高の10年に」することが今の組織のゴール。