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同窓生コラム

中国語もMBAも何も生み出さない US13井上光晴

中国語もMBAも何も生み出さない US13井上光晴

同窓生コラム:中国語もMBAも何も生み出さない

中国と中国語と私

私は高校卒業と同時に渡中。2002年に留学に来てから、長い間中国に住んでいる。日本人が少ない南京という町で思春期を過ごしたこともあり、日本人の友人は多くなかった。南京特有の日中文化に矛盾する部分を討論する機会はとても多くあったし、大学の専攻が臨床医学だったこともあり毎日の生活は中国語だったため、中国の文化ととても深く接した生活を送ってきた。そのため中国語のレベルは知らず知らずにとても高いレベルに達した。

留学に来たばかりの2002年のころ、中国語を話す日本人はとても必要とされた。中国語レベルが高くなってきていた大学生時代は「大学を辞めてうちの会社に来ないか?」という超大手現地法人からのお誘いもたくさんいただいた。しかし2018年の今では中国語を話せる人材というのはとても多い。中国語ができる日本人の価値は年々落ちている。

最近では上海に来ている日本人留学生の半分未満程度が日本人と中国人のハーフ。2002年ではとても少なかった日本人と中国人のハーフも今ではとても増え、彼らの日本語はほぼネイティブのレベルであり、且つ中国語も高いレベルの学生も多い。それに加えテクノロジーの進化もとても早く、自動翻訳はとても高いレベルになった。言語はどんどん価値をなくしている。言語の価値がなくなるのも時間の問題だ。

仕事とMBAと私

入学を決めたのは大手総合商社中国現地法人で勤務していたころ。20代後半で現地法人食料部の責任者に抜擢されていた。さらには部としては過去最高の利益を更新し、一番調子に乗っている時期。そんな時期に入学を決めた。

きっかけは、とても仲良くしていただいていた尊敬する役員の方からのこの一言。
「食料部だから、どっかに、なにか植えたら、なんか収穫できるだろ」
総合商社では社員同士専門分野が全く違う場合が多く、具体的なアドバイスがないケースも多い。しかしそのアドバイスは衝撃だった。

私は使用資金の見直しと、商売の効率化で利益を最大化することに成功したことで、収益を大きく伸ばし評価されていた。しかし当時の私は、現状のままだと商売規模を2倍にはできても100倍にはできないと思い始めたことでもあり、何か変わらなくてはいけないと悩み始めていた時期でもあった。それに加えてやはりMBAはとてもかっこいいというイメージもあった。正直後者の「かっこいい」イメージが先行して、入学を決意した。今思えばだいぶ調子に乗っていた時期だった。

MBAと中国語と私

僕の「働く」は学生起業から始まった。私は中国人と日本人の溝が深い街南京で学生時代を送っていた。歴史的な理解をめぐって中国人と日本人には溝があったが、何とかその溝を埋めようと誰よりも熱心に活動していた。その延長でよりよい活動のため作った会社が私の学生起業になり、そしてその会社に学生時代のすべてをささげた。

熱い思いで作り上げた会社がある反面、調子に乗って利益のためだけに何個か会社を作った。情熱を注ぐ会社が順調に伸びていく反面、利益のためだけに作った情熱なき会社での失敗が大きくなってしまい、倒産に近い会社清算をした。とても悔しい思いをした。今でもその思いは消えない。

そんなことに懲りずに、今はまた自分の会社経営をしている。まだこれからの会社だが日本の一部上場の会社とも徐々に商売ができてきたし、少しずつ自分たちの価値も明確になって、新しい目標も見えてきた。

中国と日本のコミュニケーションの潤滑油的な部分も業務の一部になっている商売も多々あるため、コミュニケーションの半分以上は中国語で行っている。がしかし、中国語ができるからまとまった商談は一つもない。同じくして、毎日大なり小なりたくさん商売の商談があるがMBAを取っているからって優位に進んだ商談はほとんどない。

「MBA」と「中国語」と「私」

中国語とMBAはとても良く似ている。どちらもそれ自体に価値はほぼない。中国語という言語、MBAという知識は特に何も価値を生み出すわけではない。

もちろん外国語も話せないよりは話せた方が便利だし、やはりちょっとかっこいい。MBAも持ってないよりは持っていた方がちょっと調子に乗れるし、やはりだいぶかっこいい(と私は思っている)。しかし共に小さな自己満足の域を出ない。

私はMBAも言語と同じだという認識している。中国語も中国語ができない人とはその他言語でコミュニケーションをとればよいわけだし、そもそも最高のコミュニケーションは言語を通さないでするコミュニケーションだと考えている。実際言語の力を凌駕してコミュニケーションを図る各業界のスーパースターは数多い。これと同じくして、お互いMBAホルダーだとコミュニケーションがとりやすい場合もあるが、なくても意思疎通できる。

しかし、中国語を通じて知ることができた中国の文化や習慣、中国人の特徴をつかんだうえでのコミュニケーション方法が、今の自分が手に入れた小さな成功の多くを形作っている。

BBT大学院でも優秀な同級生が2年で卒業していく中、成績不良生徒の僕は3年半掛けて卒業した。BBTはネット上ということもあり知り合いの数はあまり増えなかったが、尊敬できる優秀な仲間が増えた。

しかしMBAは私にとって、かけがえのない尊敬できる優秀な仲間と過ごした大切な共通点であると同時に、大切な時間になった。現状ではまだ大きな成果につながっていない。しかし今後は自分が経験してきた中国語と同じように、MBAという言語を通して新しい成功が生まれ、そしてそれが新しい成功のきっかけになると信じている。

言語やMBA言語自体に価値はほぼない。しかし言語を通じてしか学べないことも多くあり、時にそれはとても重要だったりする。今の自分にとってMBAとは自分をさらに成長させてくれる希望であり、それと同時に確信ともいえる未来に訪れるであろう新しい成功の根拠でもある。


US13 井上光晴
2002年 桐蔭学園高等部卒業後中国南京に渡中。1年半の語学研修生。
2003年 南京中医薬大学に入学。中国医学の道に進む。
2006年 南京でフリーペーパー発刊の広告組織設立を機に学生起業。
2009年 その後様々な産業に手を広げたくさんの失敗。すべての事業を清算。
2009年 大手総合商社双日に入社。その後世界最大穀物メジャーCargillに転職。
2013年 BBT大学院経営学科(MBA)に入学。仕事の傍ら勉学に励む。現在はMBAホルダー。
2015年 中国上海にて再度独立。上海碧光貿易有限公司設立。現在に至る。

書籍:中国駐在が決まったあなたが知っておくべきこと
講義:成蹊大学 異文化理解中国語圏 野原将揮准教授 講師井上「日中米の様々な働き方」

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bbt757@sbgm.main.jp