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同窓生コラム

いらぬ損をしないための グローバルコミュニケーション US09白井雅子

同窓生コラム いらぬ損をしないための グローバルコミュニケーション

はじめに

皆様こんにちは。US09の白井雅子です。
アメリカ在住通算27年、そのうちの22年をシリコンバレーを中心に活動しております。シリコンバレーはアメリカの中でも特殊な地域です。人種・人材の多様性、教育水準の高さ、資金源の豊富さ、ハイテク産業の集積度などの点において他の地域を圧倒しています。そんなシリコンバレーから見た日本のグローバリゼーション事情というテーマで、数回に分けて、私自身が常日頃見聞きしていること、強く感じていることの一部をBBTアラムナイの皆様と共有していきたいと思います。今回は、「いらぬ損をしないためのグローバルコミュニケーション」その1です。

いらぬ損をしないためのグローバルコミュニケーション
その1 ― 道具としての英語

グローバルな環境でのコミュニケーションにおいて、英語は重要な「道具」です。よい仕事のためにはよい道具が欠かせません。会話も大事ですが、書く英語はもっと大事です。なぜなら、差し向かいでお互いの顔を見ながら会話をする場合には、相手はこちらがネイティブスピーカーでないことをある程度わかってくれますし、ボディーランゲージも使えますが、グローバルに仕事をするときには、直接話ができないことが多いからです。直接会ってやり取りするよりもはるかに多くの情報が、メールやドキュメントを介してやり取りされます。実際のビジネスの中では、英文メールや英語での障害レポートなどが意味不明で、受け取った相手が困るケースが少なくありません。想像したり再度確認したりするのに手間がかかります。それでも最終的に理解してもらえばよいほうです。残念なケースでは、物事があらぬ方向に進んだり、よく分らないので放置される結果となります。また、顔が見えない分、簡単に相手を不快にさせてしまうこともあります。ニュアンスまで含めて相手に正しく伝わるような英語が書けないと、いらぬ損をすることがあります。

日本では、自身の英会話力について必要以上のコンプレックスを持っていたり、英会話の学習にお金をかける人がよく見受けられます。しかし、どういうわけか、書く英語には根拠のない自信を持っている人、あるいは頓着しない人が少なからずいるようです。海外製品のパッケージや海外で制作されたウェブサイトにカタコトの日本語を見つけると、笑い話にすることがありますよね。その一方で、自分で書いたプレゼン資料や自社のウェブサイトの英語がカタコトかもしれないと疑う人はどれくらいいるのでしょうか。

じつは、日本の外資系企業の社員でも、英語がしっかりと書ける人は少ないのが現状です。例えば海外展開をしているシリコンバレーのIT企業にとって、日本はもっとも重要な海外市場のひとつですが、アジア太平洋地域の営業活動のリーダー的な役割を、市場としてはより小さいシンガポール、ホンコン、オーストラリアに持って行かれてしまうことが多いのです。その理由のひとつが、英語でのコミュニケーションスキルの不足にあるのではないかと私は考えています。アメリカでは「テクニカルライター」が専門職として確立されています。「書くこと」はスペシャリストの仕事なのです。ライターを目指していなくても、技術系でも、ライティングのクラスを取って勉強する人が少なくありません。そういう環境で仕事をするからには、こちらもそれなりの文章力で対応しなければなりません。

ではどうすればよいか。今すぐに始められることとしては、英語のプレゼン資料やメールを書いたら最低でもスペルチェックをすることです。それから、これまで以上に勉強すること。そして、必要なときはプロの助けを利用することです。プロの助けを利用することは、決して恥ずかしいことではありません。わかったふりをして結局相手の信頼を損ねたり、言いたいことを言いたいニュアンスで100%伝えられない結果に終わることに比べれば、どちらが賢明かは明らかです。

 

US09 白井雅子
東京生まれ、現在はカリフォルニア州マウンテンビュー市在住です。東京→フロリダ→テキサス→東京→カリフォルニアと移動しました。アメリカも日本も大好きです。アメリカのよいところは、アメリカを好きなアメリカ人が多いこと。日本の残念なところは、日本を嫌いな日本人が多いことです。
「言葉」と「IT技術」を使って企業のグローバル展開を支援する会社Kotonoha Techを2010年に起業し、現在に至ります。ソフトウェアやウェブサイトのローカリゼーション、グローバルコミュニケーションのサービスを行っています。グローバルコミュニケーションサービスの一環として、投資家向け資料の制作、教育コンテンツの制作なども行っています。 起業する前は、主にシリコンバレーの大手 IT 企業において、ソフトウェア開発のマネジメントを担当していました。社内インフラの構築、技術者の採用、海外向け製品仕様の作成など、開発プロセス全般に深く関わり、また、多様な言語文化背景をもつチームを取りまとめ、様々な製品の海外展開を可能にしました。他に、パートナー支援、機械翻訳システムの開発(日本国内)など、幅広い経験があります。